最近よく耳にするようになってきたビーガンやハラル、一体何のこと?ベジタリアンと何が違うのかわかっていない人も多いのでしょうか。
海外からの観光客が年々増えている日本でもこれらのお店がどんどんできてきているイメージです。これらはアレルギーだけでなく主に思想や宗教が影響しています。なのでちょっとくらい大丈夫でしょとそういうものではないのです。
現在イスラム教徒は世界中で増え続けています。ハラルはますます聞く言葉になることでしょう。飲食関係者なら知っておくべき必須知識とも言えますね。
ベジタリアンとは?
基本的にベジタリアンとは菜食主義者で、これはアレルギーの場合もありますが、健康的思想や、動物愛護などの思想で一生野菜しか食べないと決めた人たちのことです。
ベジタリアンの中でも大きく4種類に分かれていています。
ラクト・ベジタリアン
野菜の他に乳製品は食べること
ラクト・オボ・ベジタリアン
野菜と乳製品に加えて卵も食べること
ペスコ・ベジタリアン
野菜の他に乳製品と卵に加えて魚も食べること
ビーガン
そしてこれらの動物性タンパク質も一切摂らないのがビーガンです。
ビーガンとは?
ビーガンとはつまり植物性のもの以外一切食べないこと言います。
ベジタリアンの一種ですが中でもっとも制限されていいることがわかりますね。
スタバなどでラテではなくソイラテにするのもベジタリアンの場合がありますね。ソイラテは豆乳で作られますので原料は大豆です。植物性のものなのでOKということですね。
近年日本でも流行ってきているビーガンフードは美容などでも注目されていますが、実際のところは美容目的ではその人自身にあっているかが重要かと思います。人間はそれぞれ体質が違い、一概にみんなに良いとは言いにくいものです。
海外からくる外国人観光客の話を聞いていると、日本人と違って美容目的より動物愛護などの思想からベジタリアンになっている方が多そうに感じます。
ハラルとは?
ではハラルとは一体なんでしょうか。
ハラルとはムスリム(イスラム教徒)のイスラム法で食べることを許されている食品をハラールと言います。ハラルと呼ばれることもあります。ハラール以外のものを口にするということは神に背く行為として罪になります。
なのでこれは宗教上の決まりで、好き嫌いの問題ではありません。
サウジアラビアなどではハラールではない食品の販売や流通も禁止されていて、もし反すると犯罪として処罰されます。
イスラムの人に提供できる料理をハラルフードと呼び、近年日本でも少しずつ増えてきています。
ハラールは豚肉は食べないことはもちろんのこと、それ以外の肉類も加工する上で一定の基準を満たしたものでないとハラールと認められません。
ハラール認定された肉のことをハラルミートと呼びます。
ハラルミートの基準
ハラルミートには屠殺(とさつ)や加工、輸送に厳しい規制があります。
・屠殺に使われる器具やナイフは適切なものであり、鋭く切れる銅鉄のものであること。またハラル以外のものに使用したものでないこと。
・死肉は禁じられているため電気ショックや頭部の打撃などで殺すことは禁じられている。屠殺する時に生きていなければならない。
・屠殺するものは資格を有していて成人しているムスリムであること。あるいは啓典の民(イスラーム国家に居住するユダヤ教・キリスト教・サービあ教徒のことであること)
・屠殺する際にアッラーの御名を唱えること。
・屠殺する際は一頭ごとにすすぎ洗いをし、ナイフを鋭く研がなければいけない。
・屠殺の前には水を与え空腹の状態にしないこと、また他の動物から屠殺の様子が見えないようにすること。
・屠殺の際は安楽死できるように、脊髄まで一気に切断し食道と喉の頸動脈と頸静脈を切断しなければならない。
・ハラルミート以外に用いられた器具や機械、製造ラインを使用せずに、輸送や保管の際もそれらと別にする必要がある。
これらの全てを満たすものをハラールミートと呼びます。
もともと屠殺には動物に痛みをできるだけ与えないように電気ショックや二酸化炭素が使用されるようになりましたので、これらの使用を禁じているハラルミートの屠殺方法は逆に残虐にも思えてしまいました。
そもそも現代の私たちの食生活ではスーパーマーケットで並ぶお肉を買うのが当たり前で、動物を殺して頂いているという実感自体ないので、どのような過程で食卓に並んでいるか考えることもないからでしょう。
このようにその過程を知ったり考えることでベジタリアンになろうという決めた人たちがたくさんいることに納得します。
ハラル認定とは?
日本はそもそも仏教の国で、ムスリムや啓典の民ではないためハラルミートを提供することは不可能です。
そのような国は世界中にあり、つまりムスリムの人たちは世界を旅しても食事をすることができないことになります。
そこで1970年にマレーシアで始まったのがハラル認証です。
世界に200以上、日本にも15以上の認証を受けている施設があります。
また日本企業で海外でハラル認証を受けている店舗などもあります。
ハラル認証を受けるには厳しい基準があります。
・ムスリムのオーナーまたはシェフがいる
・施設や設備全てで取り扱うのはハラールのみであること
・製造ラインもハラールしか扱っていないこと
・アルコールを提供しないこと
・扱っている食材や調味料の全てがハラールフードであること
・従業員への教育の徹底
詳しくはこちらをご参照ください。
ハラル認証を得ている企業
気になったのでどんな企業がハラル認証を取得しているのか調べってみました。
・ヤクルト<2267>
マレーシア、インドネシアで販売を拡大中
・日清食品<2897>
ハラル認証を得たインスタントラーメンをインドネシアで販売
・ケンコーマヨネーズ<2915>
ハラル認証のマヨネーズを販売
・長谷川香料<4958>
マレーシアと中国の工場でハラル認定を取得
・ユーグレナ<2931>
マレーシアでミドリムシとクロレラのハラル認定を取得
・マルハニチロ<1333>
機能性食品でハラル認証を得ている
・林兼産業<2286>
マレーシアでハラル認定を得たソーセージを販売
・ペッパーフードサービス<3053>
マレーシアの店舗でハラル認定取得
・WDI<3068>
マレーシアの店舗でハラル認定取得
・ゼンショーホールディングス<7550>
マレーシアの調理工場でハラル認定を取得
・グルメ杵屋<9850>
4店舗のハラル認定を得た店舗を空港内で営業
・井村屋グループ<2209>
国内の子会社でハラル認定取得
・オーケー食品工業<2905>
油揚げを製造、ハラル認定取得
・資生堂<4911>
マレーシアでハラル認定取得。マレーシアとインドネシアで化粧品を販売
・大正製薬ホールディングス<4581>
マレーシアで栄養ドリンク販売、販路拡大の為にハラル認証取得
・イオン<8267>
マレーシアとインドネシアでハラル認定商品を販売。マレーシアではプライベートブランド開発している。
ハラル認証申請中
・日本通運<9062>
マレーシア国内や周辺地域への物流のためにハラル認定を申請中
海外で注目の企業
・ビヨンドミート<BYND>
ビヨンドミートは植物由来で作られるミートでベジタリアンやハラルフードに対応できるだけでなく、今後世界的に人口が増加することで食糧不足になることが懸念されていますが、これを解決することができると期待されています。
この会社ではハンバーガーのパテやソーセージやベーコンなどを植物由来で製造販売しています。
美味しいのかなと思いますが、実際に食べると本当のお肉と差がないとか・・・
日本ではまだ見かけませんが、そのうちイオンなどでも販売されるようになるかもしれませんね。